VTRアダプターへ地デジチューナーを取り付けても車の仕様上、走行中にテレビの映像を映すことができません。これではせっかく取り付けた地デジチューナーの意味も半減してしまいます。そこで今回は、走行中にテレビ映像が消える機能をキャンセルして、走行中でもテレビが見られるようにする方法を紹介します。
走行中にテレビが見られる条件
まずエンジンを掛けてTVを映し、ATのセレクトレーバーを「D」ポジションにします。この状態でパーキングブレーキが掛かっていればテレビは映り、パーキングブレーキが掛かっていなければ、テレビの映像は映らないはずです。このことからパーキングブレーキが掛かっていないと、テレビが映らないことが分かります。
また、パーキングブレーキをメーターパネル内の警告灯が点灯するくらい軽く踏みながら(パーキングブレーキを軽く掛けた状態で)走り始めると、テレビの映像が消えます。パーキングブレーキに加え、車速も監視していることが分かります。以上のことから、パーキングブレーキと車速の信号を止めてしまえば走行中でもテレビが映ることが分かります。
走行中にテレビが見られるハーネスキットを購入
必要な改造は電気配線の変更なので、パーキングブレーキと車速のハーネスを切断しアースへ落とす加工を行なえばいいのですが、配線図を追って改造箇所を検討し、さらに実際の車両の中から該当する電線を見つけて配線を加工する作業は、非常に手間と時間が掛かり面倒です。そこで今回は、以前VTRアダプターを購入したK’s_System通信プラザの走行中にテレビが見れるハーネスキットを購入して取り付けてみることにしました。
今回購入したハーネスキットは、通勤快速ハリアー号(ACU35W)に適合する「G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付EMV」専用ハーネスキット、型番「TV-050」です。通勤快速ハリアー号はマイナーチェンジ前のDVDナビ仕様です。同じ30系でも後期型HDDナビは、使用するハーネスキットが異なるかもしれませんので、販売サイトK’s_System通信プラザで確認して下さい。
ハーネスキットの取り付け場所はEMVの裏
走行中にテレビが見れるハーネスキット「TV-050」は、ナビ画面(EMV)の背面に挿入されているハーネスと、ナビ画面とのあいだに挟み込むかたちで取り付けます。電線を切ったり繋げたりする配線作業は行わないので、簡単に取り付けられそうです。ただしナビ画面(EMV)を取り外す必要があるので、ここからナビ画面を取り外す手順を紹介します。
シフトレバー周囲のアッパーパネルを取り外す
まずは作業性をよくするために、コンソールボックスを後方へ下げます。そしてオーディオユニットの取り外しに邪魔になるので、シフトレバーを「D」ポジションへ入れます。シフトロック解除ボタンを押しながらシフトレバーを動かすと「D」ポジションへ入ります。
シフトレバーを「D」ポジションへ入れると、パーキングロックが解除されるので、地面に傾斜があると車が動き出します。シフトレバーを動かす前に、しっかりパーキングブレーキを掛けておきます。
最初に外すのはシフトレバー周辺の「アッパーパネル」。写真では「内装はがし」を差し込んでいますが、樹脂のクリップではまっているだけなので、爪をかけて引き上げれば簡単に外せます。
続いてシガーソケットが取り付けられているパネルを外します。こちらも樹脂のクリップで差し込まれているだけなので、パネル下の隙間へ指を入れて手前に引けば外れます。このパネルにはグレードによってシートヒーターなどのスイッチがあるようですが、通勤快速ハリアー号はシガーソケットのみ取り付けられています。ハーネスの長さが結構あるので、無理に外さずぶら下げておいてもいいのですが、次第に邪魔になりその後外してしまいました。
ハリアー純正オーディオの取り外し
ハリアーの純正オーディオは、4本のボルトで固定されているので取り外します。まず下から覗き込むと二面幅10mmの六角ボルトが2本見えるのでこれを取り外します。奥まった場所なのでソケットレンチにエクステンションバーを取り付けて、ラチェットを使用すると作業が楽です。ボルトがコンソール内へ落ちないように、オーディオの下へウエスなどを敷くことをお勧めします。落とすと取り出しが大変です。
今回の作業全体を通じて最も難易度が高い作業が、実は純正オーディオを固定している奥側のボルト2本の取り外しです。
このボルトは下から覗き込まないと見えない位置に有ります。下から斜め上方向に向けて取り付けられていて、ボルトは奥まった場所にあるのでエクステンションバーが必要不可欠です。オーディオの下へウエスを敷いて、助手席側からいざ取り外したところソケットからボルトが抜けて、しかも敷き詰めたウエスの隙間からコンソール内へ落下してしまいました。
幸いにも助手席足元のコンソールカバーとカーペットの間から取り出すことができましたが、落とすと大幅な時間ロスだけではなく、落とした場所によっては取り出しが難しいので、オーディオユニットの下へ確りウエスなどを敷き詰めてボルトをコンソール内へ落とさないように注意して下さい。運転席側は落とさずボルトを外すことができました。
オーディオユニットの下へウエスを敷いて、外したボルトがコンソール内へ落下しないように注意して下さい。
ボルトを4本外したら、オーディオユニットを前後左右上下に軽くゆすると、写真のように手前に外れます。ただし裏に配線されているケーブルが短いので、写真の状態でほぼいっぱいいっぱい。隙間から手を入れて、裏側に差し込まれているコネクターを抜くと純正オーディオが外れます。
純正オーディオが外れるとこんな感じ。純正オーディオにはコネクタ4ヶとアンテナのプラグ2本が差し込まれています。コネクタは爪を確り押し込めばスッと外れるので力は必要ありません。もしボルトが落ちたら、オーディオを外してからの方が、コンソールの中を覗きやすいかもしれません。
ナビ画面(EMV)の取り外し
引き続きナビ画面(EMV)を取り外します。ナビ画面は、下側の奥に左右1本づつ、計2本のボルトで固定されているのでこれを取り外します。ラチェットを振る十分なスペースが有るので楽に外せますが、ボルトの落下には引き続き注意です。
ボルト2本が外れたところでEMVをゆすってみます。下側を固定している黄色のクリップは手前に外れましたが上側がなかなか外れません。
そこでエアコンの噴出し口の部分に「内装はがし」を差し込んで浮かせます。
すると手前にナビ画面を引き出すことができます。ただしオーディオ同様に繋がっているハーネスが短いので、片手で画面を落とさないように支えながら、裏に繋がっている5本のハーネスを抜きます。
ナビ画面(EMV)とオーディオが外れるとこのような感じです。取り外す部品は以上になります。作業前にダッシュボードや取り外す部品の周囲をマスキングテープなどで養生すると傷防止になります。
ハーネスキットの取り付け
購入したハーネスキットTV-050は、ナビ画面(EMV)とナビ画面へ差し込むハーネスとの間へ割り込ませる形で取り付けます。したがってナビ画面でも、車両側のハーネスでもどちらでも事前に差し込めばいいのですが、アース線の配線を考慮しなければなりません。
コンソール内部にはアースを落とせる適当なボルトやネジが有りません。そこでハーネスキットはナビ画面へ事前に差し込んで、ナビ画面とブラケットを固定しているボルトへアース線を繋ぎました。
アース線(緑色の電線)を金属部分へ接続しないと、ハーネスキットを取り付けただけでは走行中にテレビは映りません。必ずアース線を接続します。
ハーネスキットの取り付け作業はこれだけ。あとは外した逆の順番で、ハーネスを繋ぎながら各部品を取り付けていきます。この時にハーネスを差し忘れると、ナビが動かなかったりオーディオが動かなかったりするので、ハーネスの差し忘れに注意します。
走行中にテレビが映るか動作確認
全ての部品を取り付け終えたら、目的通りテレビが映るか確認してみます。まずエンジンを掛けてテレビを映します。この状態でパーキングブレーキを解除してテレビが映れば、パーキングブレーキによる制御はキャンセルされています。次に車を走らせて、テレビが映り続ければ車速による制御もキャンセルされていることが確認できます。
上の写真では、シフトポジション表示灯(緑)の上にあるブレーキ警告灯(赤)は消灯していますが、テレビが映っている様子が分かると思います。
最後に取り外したナビやオーディオ、シガーソケットを一通り操作して、問題なく作動することが確認できたら作業終了です。
ハーネスキットを取り付けたことによる影響
CDチェンジャー、MD、FMラジオやAMラジオなど、オーディオ系の不具合はありません。ナビは、むしろ走行中に操作できなかった項目が操作できるようになったと認識していますが、どの項目かは忘れてしまいました。(^^;
普段はEMVの画面へ車両情報(燃費情報)を表示させていますが、問題なく燃費を表示しています。瞬間燃費を表す黄色のバーグラフも正常に動いています。
フロント&サイドカメラも車速に応じた表示切替は正常に作動しています。通勤快速ハリアー号では、車速が落ちて停車直前から停車中は、フロントカメラの映像を画面へ表示するように設定してありますが、この表示切替も問題なく作動しています。
したがってハーネスキットを取り付けたことで作動しなくなる機能や不具合は、一切ありませんでした。
記事のまとめ
東日本大震災発生時、地元はすぐに停電したのでハリアーでテレビを見ていました。テレビでは市街地を襲う津波の映像が中継されていました。もし車で避難している方々がテレビの映像を見て、すぐ近くまで津波が迫っていることを知ることができれば、近くの高台へ上がるべきか、車を捨てて近くの高い建物へ逃げ込むか、その判断ができたはずです。その時の経験から、たとえ走行中であってもテレビを視聴できるようにしておくべきだと私は思います。
いつどのような状況においてもあらゆる情報へアクセスできる環境を整えておくことは、自分の身と家族の安全を守るために、必要なことではないでしょうか。
この記事へのコメントはありません。