地デジフィルムアンテナ取り付けに続いて、地デジチューナーへ供給する電源の取り出し方法について紹介します。電源を取り出す場所はいくつかありますが、今回は地デジチューナーを設置する運転席下から最も近い、フロントアンダートレイにあるアクセサリーソケットから電源を取り出すことにしたので、その配線方法について紹介します。
地デジチューナーはアクセサリー電源へ接続する
アクセサリーソケットは、エンジンキーの位置がACCまたはONの位置で電気が供給されるアクセサリー電源(ACC電源)回路へ接続されていて、キーの位置がOFFだと電気は供給されません。今回、通勤快速ハリアー号へ設置するパイオニアの地デジチューナーGEX-700DTVは、エンジンキーの位置がOFFからACCもしくはONにすると自動的に電源が入ります(リモコン操作でON-OFF操作は可能)。したがってキー位置に関わらず常時電気が供給される回路へ接続すると、エンジンが止まっていても地デジチューナーの電源が入りっぱなしになり、バッテリーあがりを起こしてしまうので必ずアクセサリー電源へ接続します。
アクセサリーソケットから電源を取り出す理由
アクセサリーソケットは、エンジンやブレーキといった車を動かす(制御する)機器へ電気を供給しない独立した電気回路です。その回路から電源を取り出すことで、仮に地デジチューナーにヒューズが切れるようなトラブルが発生しても、車の制御や安全に関わる重要な電気回路に影響は及びません。そのような理由から地デジチューナーの電源は、アクセサリーソケットから取り出すことにしました。
コンソールボックスを取り外す
アクセサリーソケットから電源を取り出すにあたり、室内から電源ケーブルが見えないように敷設するため、アクセサリーソケットへ挿入して電源を取り出すプラグなどは使わず、アクセサリーソケット裏側の電線へ、直接地デジチューナーの電源ケーブルを接続(半田付け)することにしました。施工の難易度はやや高くなりますが、室内から電源ケーブルが見えないので後付け感がなく、またアクセサリーソケットを活かすこともできます。
まず最初の作業は、スライド式コンソールボックスの取り外しです。コンソールボックスを取り外す準備として、コンソールボックスを一番後方へスライドさせ、そして運転席と助手席を一番前へスライドさせます。背もたれも起こしておくと、作業しやすいでしょう。
コンソールボックス両側にめくらカバーが被せてあるので、細いマイナスドライバーなどでこじ開けます。内装はがしでは先端が入らないので、細いマイナスドライバーがいいです。
カバーを外すと、二面幅10mmの六角ボルトが片側3ヶ所、左右計6ヶ所あるのでラチェットレンチで外します。ディープソケットかエクステンションバーがあると作業がやり易いです。
コンソールボックスのスライドロックを解除するレバーのワイヤーも外します。工具は必要ありません。青い樹脂部分を手前に引っ張れば簡単にワイヤーが外れます。このワイヤーは運転席側だけにあり、助手席側にはありません。
次にコンソールボックス内の照明用電源ケーブルのコネクターを抜きます。コンソールボックスの前側を浮かして覗き込むと、すぐの場所にコネクターが見えます。コネクターを抜き、さらにケーブルを固定しているクリップも抜きます。このクリップはとても硬いので怪我をしないように気をつけて下さい。上の写真は撮影のため、灰皿でコンソールボックスを支えています。
照明用電源ケーブルのコネクターを外してコンソールボックスを持ち上げるとコンソールボックスが外れます。エアコンの噴出口へ繋がっているダクトも差し込んであるだけなので、引き抜いて外します。
フロントアンダートレイを取り外す
次にコンソールボックス下のフロントアンダートレイを取り外します。このトレイはネジとクリップで固定されています。ネジは先程外した照明用電源ケーブルのコネクターのすぐ近くに2本あるので、プラスドライバーで外します。
プラスのネジ2本を外したのち、上方へ引っ張り上げれば外れます。固定方法はネジが2本とクリップが3ヶ所です。上の写真で青いクリップが見てとれると思います。後方のクリップはボディーにはまったまま外れてしまいましたが、
クリップの穴が鍵穴の形状になっているのでボディー側にはまっているクリップを無理して外さなくても元通り取り付けできます。
この状態で配線作業をしてもいいのですが作業性が悪いので、フロントアンダートレイからアクセサリーソケットを取り外します。
アクセサリーソケットを取り外す
アクセサリーソケットの取り外はとても簡単です。上の写真でソケットの内部、右側面に小さな四角い窓が見えます。この窓に樹脂の爪が引っかかっているので、細いマイナスのドライバー等で爪を押し込みます。
軽く爪を押しながら金属ケースを手前に引っ張り出すとアクセサリーソケットが抜けます。コネクターまで引き抜けますが、コネクターを引き抜くには引き抜ける位置があるので力任せに引き抜かず、コネクターの形状とアクセサリーソケットが差し込まれている穴の形状を確認しながら抜きます。
自動車の電気は直流なのでプラスとマイナスが有ります。アクセサリーソケットの電線は白と黒が使われています。一般的に黒がマイナスですが確認するために、外したアクセサリーソケットを車両側のコネクターへ接続し、
エンジンキーをACCの位置までまわし電気を流して極性を確認します。すると予想通り白の電線がプラス。黒がマイナスでした。
アクセサリーソケットへ電源ケーブルを半田付けする
付属されている電源ケーブルは、カタログの記載によると5mの長さがありますが、アクセサリーソケットから運転席下まで届けばいいので、5mも電線の長さは必要ありません。 また、アクセサリーソケットへ半田付けするので、電線に圧着されているギボシ端子も必要ないことから、地デジチューナーへ接続するコネクター側から約2m程の位置で電線を切断しました。結果的には、もっと短くても良かったようです。上の写真は切り落とした電源ケーブルです。
アース線もアクセサリソケットへ半田付け
一方、電源ケーブルのアース線は長さが1mほどで、先端にY端子が圧着してありました。本来は、ボディーに対して止めているネジを緩めて共締めすればよいのですが、運転席周辺に適当なネジが無いことや、アクセサリーソケットにマイナスの電線があることから、ついでにアース線もアクセサリーソケットへ半田付けすることにしました。ただし問題はアース線が短いこと。そこで付属の電源ケーブルと同じ太さの電線(UL1007 AWG18)で継ぎ足してアース線を延長したのち、プラス側と同様にアクセサリーソケットの電線へ半田付けしました。
アクセサリーソケットへ地デジチューナーの電源ケーブルを半田付けした様子です。アクセサリーソケットの白い電線がプラスなので、電源ケーブルの赤い線を。黒いマイナスの電線へ、電源ケーブルの黒い電線をそれぞれ半田付けしました。
電線を出し流す方向をコネクター側にしましたが特に意味はありません。作業しやすい向きでいいでしょう。ソケット側でも問題ありません。ソケット側へ向けた方が、車両へ取り付け後に無理な引き回しにならないので、むしろソケット側へ出した方が良いかも知れません。
電源ケーブルの半田付けが終わったら、フロントアンダートレイへソケットを差し込んで完成です。この後、助手席側のアンテナケーブルを運転席側へ引き回したり、リモコン受光部のケーブル敷設作業を行うので、フロントアンダートレイはまだ車両へ取り付けません。
今回の記事はここまでにして、次の記事で地デジチューナー取り付けの様子を紹介します。
記事のまとめ
今回紹介した半田付けによる電線ケーブルの接続方法は、半田付けの技術が必要なので誰にでもできる接続方法ではありませんし、車内からケーブルが見えないので綺麗に仕上がりますが、無駄に時間を使うので完全に自己満足的な作業方法です。車内から電源ケーブルが見えないように敷設しつつ、もっと簡単な方法で電源を取り出す方法として、ヒューズボックスから電源を取り出す方法があります。電源取り出し用のヒューズへ交換することで、特殊な道具を使うことなく電源へつなぐことができるようなので、検討してみて下さい。
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